最近のアイドルは、歌もダンスも、役者までしっかりこなす。
ばっちりメイクに、つやつやの髪。
みんな可愛い。
けれど――
正直に言うと、誰が誰だか、さっぱりわからない。
「あれ? この子、さっきも話してた?」
いや、違う人らしい。
同じ症状の夫に聞いてみても、
「さっき歌ってた子じゃないか?」などと言うものだから、
余計にこんがらがって埒が明かない。
何度も名前が紹介されるのに、頭に残らない。
気づけば、全員が同じ顔に見えてしまう。
それ以上、深追いもしないから、
別の日にまた「あれ、誰だったっけ?」と堂々巡りになる。
思い出すのは、昔の母の言葉。
「最近の若い子は、みんな同じ顔に見えるわ。」
そのときは「そんなことないでしょ」と笑っていたのに、
今は、まったく同じことを言っている自分がいる。
……これって、年のせいだろうか。
「若いアイドルがみんな同じに見えるのは、老化なのかと不安になる。」
「老化」「認知機能」という言葉だけが頭をよぎる。
でも調べてみると、人は“興味のある対象”は細かく見分けられるけれど、
興味が薄いと、特徴をひとまとめにしてしまうらしい。
なるほど。
覚えられないのは、脳の衰えというより、
単純に「推し」がいないからかもしれない。
そういえば――
私よりひどい状態だと思っていた母は、いつの間にか「推し」を見つけていた。
友達のことのように語る近況報告。
新曲の話。
テレビ出演の予定。
その熱量に、私はまったくついていけない。
少しだけ、置いて行かれた気分。
でも、どこかうれしい。
母の世界は、ちゃんと広がっているのだ。
そして私は、
まだ「みんな同じ顔」に見える場所に立っている。
それもまた、今の私なのだと思う。
今日も読んでくださり、ありがとうございました。
当てにならない自分の記憶に右往左往しています。記事はこちらから→
発酵食品が好きなので、ちょっと気になりました。
